清原果耶と「まともじゃないのは君も一緒」

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若い頃には、自分は特別で平凡な他人とは違うと思いたい一方、普通の人と同じように友達もたくさん欲しいし、特に恋愛をして恋人が欲しいと思うものです。「人はこうでなくてはいけない」という思い込みは人間の不幸の第一歩だと思いますが、この映画はそんな「普通になりたい」男女を巡る物語です。

数学が好きで人付き合いが苦手、一般常識に欠ける塾講師の大野(成田凌)に、その生徒の女子高生の香住(清原果耶)は、「そんなことでは結婚出来ない、ちゃんと常識をもって女性と会話が出来ればモテる」と恋愛指南を始めます。でも、彼女も恋愛経験ゼロ。香住が憧れる青年社長の宮本(小泉孝太郎)の恋人・美奈子(泉里香)と大野をくっつけようと、二人は「普通に女性に近づいて、会話をする」作戦を開始。やがて香住は大野に対する自分の気持ちに気づき・・。

冒頭こそ大野が静かに森を彷徨うシーンから始まりますが、そのあとは大野と果耶のセリフの応酬。このセリフのテンポと、奇人変人のたぐいの男性、お転婆だけど寂しがり屋の女性という取り合わせは、嫌でも40年代ハリウッドのスクリューボール・コメディを思わせます。成田凌はケイリー・グラント、清原果耶はクローデット・コルベールといったところでしょうか。前田弘二監督と脚本の高田亮は、「婚前特急(11年)」「わたしのハワイの歩き方(14年)」と一貫してスクリューボール・コメディに取り組んでいます。「婚前特急」はタイトルからしてルビッチの「淑女超特急」「極楽特急」のそれですし、セリフ中心の作劇の中に暗にセックスを匂わせるのもスクリューボールコメディの特徴。前田・高田コンビはそのようなジャンル愛をあからさまに出さずに、あくまで端正な演出で見せています。

「宇宙でいちばんあかるい屋根(20年)」に続き主演女優を演じた清原果耶は前田・高田コンビのヒロインたち、吉高由里子や榮倉奈々ほどのアナーキーなまでの自己中心的なキャラクターではないものの、今まで何とも思っていなかった男性に惹かれあたふたする様子を好演。生真面目な印象の彼女が演じることで、コメディだけれど恋愛映画としての切実さも兼ね備えた作品となっています。

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