第32回東京国際映画祭「ひとつの太陽」

ワールドフォーカス部門「ひとつの太陽」(台湾/チョン・モンホン監督)を鑑賞。

一人の少年が傷害事件の共犯として捕らえられる。自動車教習場の教官を務める父親は非行に走る少年に手を焼き、更生の為にも少年院に収監するよう家庭裁判所で訴える。そんな父親の態度に納得出来ないでいる母親。二人には優等生のもう一人の息子がいる。この4人の家族を中心に、少年の改心やその兄の心の鬱屈、両親の不器用な息子たちとの関わりが描かれて行きます。

台湾映画と言えば私たちはすぐに 侯孝賢や楊德昌 を思い浮かべますが、今作も先輩たちと同様、血縁と家族の「罪と罰」を描いた作品です。家族のことを気に掛けながらも素直に接することが出来ない父親、二人の息子を愛しながらも思い通りにいかずに悩む母親、入所の間に恋人との間に生まれた子供と新しい家族を作る為苦闘する少年、家族の期待と現実の間に押しつぶされて行くその兄と、人物描写がとても精緻で一人一人の性格が浮かび上がってくるため、物語のうねりに人物が振り落とされることなく、骨太のドラマとして現在の台湾に生きる家族の姿を描き切っています。

冒頭の残酷なシーンや父親が見せるコミカルな演出も交え、2時間半を越える長尺を一気に見せると同時に、終盤で少年が母親を自転車の荷台に乗せるシーンなど、所々で見せる詩情溢れるショットも胸を打ちます。

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