第32回東京国際映画祭「動物だけが知っている」
コンペティション部門「動物だけが知っている」(フランス/ドミニク・モル監督)
フランスの雪深い農村地帯。車を残し、一人の女性が行方不明となる。一人牧場を営む男が容疑者として疑われるが・・
ミステリー仕立ての作品なので粗筋を書くのはやめておきますが、フーダニット型のミステリーから始まり、複数の視点で人物を描いていきながらやがて思わぬ展開を見せる、娯楽作としてとても面白い作品です。コーエン兄弟程の毒は無いにせよ、近い作風を感じさせます。容疑者として疑われる男、近隣に住む夫婦、行方不明の女性と彼女と関係を持つ若い女性、遠くコートジボワールから事件に関与する男。多くの登場人物は、誰かに愛されたいと願いながら思わぬ破滅を招いてしまう。Q&Aのゲストにも登壇したドゥニ・メノーシェが可笑しくて悲しい中年男性を演じていて、秀逸。冒頭、山羊を担いでバイクに乗る男性のカットから始まるのですが、鑑賞後「動物だけが知っている」というタイトルについて色々と考えてみるのも楽しい作品です。 一般公開されても人気の出る一作ではないでしょうか。