第31回東京国際映画祭「詩人」

第31回東京国際映画祭コンペティション部門「詩人」(リウ・ハオ監督/中国)鑑賞。

あらすじ
中国の経済改革の最中、鉱山労働者のリーは紙とペンで自分の運命を変えようとする。妻のチェンは夫の夢を叶えようと全身全霊で支えた。ついに、彼の詩集が出版され、有名になり、鉱山の仕事を辞める。
10年の歳月が経ち、急速な経済成長はあらゆる精神的信条の価値を下げ、詩人でいることなど論外だと考える世の中になった。チェンと離れたリーはもはや詩を書くことができなくなっていた。
しかし、彼の知らないところで実はチェンは彼の生活を支えていた。リーの死後、チェンはリーの影と匂いに囲まれながら奇妙な人生を送る。
(東京国際映画祭オフィシャルサイトより)

80年代から急速に経済発展を遂げる中国を舞台に、ひっそりと炭坑街で暮らす詩を書き続ける男と献身的に支える妻。静かなタッチでその成功や別離を綴る作品です。文学的成功が政治性を帯びる中国の特殊さを重厚な映像で描き、どこかベルナルド・ベルトリッチを思わせます。撮影も美術もとても高い水準で、新しい時代の中国映画というよりも、クラシカルな幾らかヨーロッパのアートフィルムに近い映画という印象を持ちましたが、とても見応えのある作品でした。

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