第31回東京国際映画祭「アマンダ」

第31回東京国際映画祭コンペティション部門「アマンダ」(ミカエル・アース監督/フランス)鑑賞。

あらすじ
便利屋業をしているダヴィッドは、パリに出てきたてのレナに出会い、恋に落ちる。しかしその直後、妹の突然の死によって彼の人生は無残に壊れていく。ダヴィッドはショックと辛さを乗り越え、まだ若い姪っ子アマンダの世話をしながら自分を取り戻していく。
(東京国際映画祭オフィシャルサイトより)

冒頭から、仕事や姉に振り回される青年の姿が描かれます。こんなに人が良いとこの先どうなることやら、と思っている内に、ある事件が起き、いよいよ青年はある選択を迫られることになる。この、事件が起こる直前の繊細なパリの風景、静まり返った音響が不穏さをたたえて素晴らしい。

姪のアマンダに、青年の姉であるその母親が語るエピソードが冒頭に描かれます。「アメリカには、もう手遅れだという慣用句に”エルビスは既に建物を出てしまった”という言葉がある」

観客は、いずれこのセリフが終盤の決定的な場面で呟かれるであろうことを予想するのですが、これ以上無い場面でその言葉が発せられ、私たちは涙を流すことになります。悲しい成り行きには違いありませんが、どこか爽やかな涙でもあるのです。

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