第19回東京フィルメックス「ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト」

第19回東京フィルメックスコンペティション作品「ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト」(ビー・ガン監督)鑑賞。
主人公の青年が故郷である中国の地方都市・凱里に戻る。そこで幼馴染みから銃の運び屋をやらされるが、自分のヘマから友人を殺されてしまう。殺した組織のボスを突き止め、その愛人に近付くが、彼女は主人公の父親が経営していたレストランに残された写真の女に面影が似ていて、引かれていく。二人で逃亡を図るものの、ボスにつかまり、女は姿を消す。主人公は、女を探すため、炭鉱のトンネルをくぐり抜ける・・。
これが二本目というビー・ガン監督。映画の冒頭に「この映画は3Dではありませんが、主人公がメガネを掛けたら皆さんもそうしてくださいね」という人を食ったコメントがあります。いつ3Dになるのかと3Dメガネを握りしめ鑑賞しますが、そうなるのは映画の終盤、男が炭鉱に入ってから。観客たちが一斉に3Dメガネをかけ、そこに「地球最後的夜晩」のタイトルが現れ(このタイトルの入り方が格好いい)、3Dかつ一時間のワンカット撮影による映像が始まります。
男がいて夜があって、犯罪があり美しい謎めいた女がいる。フィルム・ノワールの典型的なフレームを借りながら、ビー・ガン監督は既成の映画作りに揺さ振りをかけようとします。
映画ファンなら、この作品に様々な作家からの引用を見出だすのは容易でしょう。水のモチーフや机を移動するコップはタルコフスキーだし、瓜二つの女、360度パンによるキスシーンは明らかにヒッチコックの「めまい」です。そのような幾らか無邪気なオマージュや3D、ワンカット撮影というケレン味を差し引いても、映画への敬意と、映画をもう一歩先に進めようとするビー・ガン監督の野心に胸を打たれました。
野心的なだけでなく、エンターテイメントとしても実に魅力的な作品で、一般公開が決まったのも頷けます。

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