第32回東京国際映画祭「WASPネットワーク」

ワールドフォーカス部門「WASPネットワーク」(フランス・スペイン・ブラジル/オリヴィエ・アサイヤス監督)を鑑賞。

90年代のキューバ。パイロットの男たちがアメリカに亡命する。亡命先ではキューバからの亡命者を支援する仕事に従事する。一方では資金を集めるために麻薬の密売にも関わりながら。キューバでは、亡命した彼らは裏切り者と罵られるが・・

オリヴィエ・アサイヤス 監督の新作は、「カルロス(10年)」を思わせる、硬派な政治劇です。ヨーロッパインテリ層のネット出版への危機感を描いた「冬時間のパリ(18年)」(昨年の東京国際映画祭で「ノン・フィクション」のタイトルで上映されました)奇妙なサイコスリラー「パーソナルショッパー(16年)」女優の生き様を描いた「アクトレス(14年)」と、様々な題材で映画作りを行っているアサイヤス監督ですが、政治、特に局面を変える「革命」は彼にとって重要なテーマなのでしょう。今作は実際の事件に基づき、キューバの内政をタイトな演出で描いていきます。何故にフランス人のアサイヤスがここまでキューバとアメリカの攻防に関心を持つのか理解出来ない面もあるのですが、シーンごとの充実ぶりは流石です。目まぐるしく舞台が変わり、時制が入れ替わっても、簡潔な演出なので状況がわからなくなることはありません。ハードなタッチの実話物ですがペネロペ・クルスとアナ・デ・アルマス(相変わらず、チャーミング!)が政治に翻弄される女性を魅力的に演じており、アサイヤス監督のもう一つのテーマ・関心はこちらにあるようです。

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