第31回東京国際映画祭「悪魔の季節」

第31回東京国際映画祭”クロスカットアジア”「悪魔の季節」(ラヴ・ディアス監督/フィリピン)鑑賞。

あらすじ
1970年代後半、マルコス独裁政権下のフィリピン。女性医師ロレーナは僻地の貧しい村で医院を開業する。村は制服の兵士たちに囲まれている。その後、ロレーナが痕跡を残さず失踪したため、活動家・詩人・教師の顔を持つ夫のフーゴが捜索を開始するが、障害が立ち塞がる…。
(東京国際映画祭オフィシャルサイトより)

私は「立ち去った女」しか観ていませんが、いずれも4時間を超える長尺で、まさに質・量ともに「世界最大」の映画作家ラヴ・ディアスの新作はアカペラによるミュージカルという異色の作品。モノクロでパースの強い画面作り、強烈な逆光、ワンシーンワンカットの積み重ねによる長大な上映時間と、あらゆる点で破格です。ラヴ・ディアスの作品を観て「長すぎる」と文句を言っても始まりませんね。そういう作家なのですから。
今作は70年代のマルコス政権下の民兵による庶民の弾圧を描き、詩人とその妻の悲劇が綴られます。殆どメロディが無い歌唱と、それにまして沈黙が作品を支配します。時折姿を見せる民兵の首領たる政治家が後頭部にも顔がある造形で、「悪魔の季節」という題名に相応しい不吉さです。そして物語も、これ以上ない救いの無さで終わり、その余りの暗さに観客は圧倒されることになります。とにかく、普通の映画体験ではありません。必見です。

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