第21回東京フィルメックス「マイルストーン」
コンペティション作品「マイルストーン(インド/ アイヴァン・アイル 監督)」を鑑賞。
いわばインドの「トラック野郎」の物語ですが、主人公の中年運転手は妻を自殺で亡くし、世代交代から来る首切りに怯えるなど、こちらは随分と寡黙でシリアスなトラック野郎です。冒頭の主人公のトラック運搬の日常から、幻想的な朝靄の中に現れる実家の村の風景などが無駄のないショットで描かれ、オープニングから抱いたこの作品への好印象が、最後まで持続していきます。端役でしかないと思っていた新入りドライバーの人生の重さが、主人公の行動を追う中でやがて立ち上がってくる作劇も、抜群に上手い。
かなり地味な物語を、奇を衒うことなく正統なスタイルで、タイトに無駄なく語りきっており、とても完成度の高い作品だという印象を持ちました。