第21回東京フィルメックス「逃げた女」

特別招待作品「逃げた女(韓国/ホン・サンス監督)を鑑賞。

そういえば一昨年のフィルメックスで上映された「草の葉」「川沿いのホテル」は確か日本公開されず仕舞い。映画祭ではチケットを取るのが難しいほど人気のホン・サンス監督ですが、興行的には難しいのでしょうか。今作は一般公開が決定したそうで、この楽しい作品を多くの観客が観ることが出来るのはうれしいことです。

今作は、観た人が誰しも「あぁ、ホン・サンスだなぁ」という安心感、幸福感に包まれる作品です。女性たちの他愛もないおしゃべり、大雑把なズーム、何故かテーマソングのように突然鳴り響く音楽、そして何よりここ数年のホン・サンス監督のミューズであるキム・ミニの出演。キム・ミニは、「それから」以降のホン・サンス作品すべてに出演していますが、その存在は「川沿いのホテル」や「草の葉」のように、次第に作品の中心というよりも、ホン・サンス世界の観察者のような立場をとる存在、守護天使のような存在へと変貌しているように思います。今作でもキム・ミニは三人の知人を訪れ、専ら聞き役に徹しています。女たちの話題は、鶏、牛、猫を経て、バーで出会った男、ストーカーまがいの男、キム・ミニの元カレと移ろっていきます。動物も男も、興味の対象という意味では結局同じこと。のほほんとしていながら案外冷徹なホン・サンスの観察眼が、今回もキム・ミニを通して存分に発揮されています。

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