第33回東京国際映画祭「海辺の彼女たち」

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ワールドフォーカス部門「海辺の彼女たち(藤元明緒監督)」を鑑賞。

ベトナムから日本へ出稼ぎにきた三人の女性。過酷な労働環境に耐えかねて、別の働き口を斡旋されるが、そこでも待っているのは重労働。そして一人の女性の妊娠が発覚して・・という物語。アジアから見て今でも日本が魅力的な出稼ぎ国なのかはよくわかりませんが、(今に日本人がアジア諸国に出稼ぎに行くのでは?)よく報道されている技能実習という名の労働搾取、不法滞在の問題を背景に、違法な就労で母国に送金をせざるを得ない女性たちの姿が描かれています。藤元監督作を観るのは初めてですが、とても正統的で誠実な題材へのアプローチがなされており、感銘を受けました。特筆すべきは手持ちが中心でありながら、いたずらにブレることなく、対象を捉え続ける岸建太朗氏のキャメラ。特に主人公が雪の降る中、病院を探して心細げに線路わきを歩き続ける姿を長回しで捉えたキャメラは圧巻です。

この作品の最も痛切で優れた瞬間は、ラストに訪れます。藤元監督は事実に向き合い、しっかりと最後にこの作品に一つの結論、落とし前を付けます。 日本の若手監督の作品が幻想的で抽象的なシーンに逃げたり、観客に解釈を委ねたりしがちなのに対し、 この潔さは稀有なものだと感じました。

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