第20回東京フィルメックス「春江水暖」

東京フィルメックスコンペティション部門「春江水暖(中国/グー・シャオガン監督)」を鑑賞。

中国 杭州の富陽を舞台に、市街を流れる大きな川・富春江沿いに生きる家族の姿を描いた作品。中国料理レストランを営む長男、富春江で時代遅れになりつつある漁業を営む次男、未だ独身の頼りない三男、障害を持つ息子を抱え、借金取りから追われる四男。そして痴呆が進み、長男の家に預けられる母親。この一族の日常、生活のやりくりの苦しさ、思い通りにならない子供たちのことなどが富陽の四季を通じて描かれて行きます。

154分に及ぶ長尺ですが、映画は四季折々の富陽の素晴らしい景観を舞台に、時として驚くべき長回しを駆使し全く観客を飽きさせることがありません。特に登場人物の一人である少女が富春江沿いを歩き、その恋人が富春江を泳ぎ渡るシーンや、借金取りが中国料理レストランを訪れる様子を店外から長回しで収める横移動には驚嘆させられます。 勿論そのような撮影上の技巧だけではなく、衒うことなく市井の人々を見つめており、一本の映画とじっくりと向き合うことの喜びを味わわせてくれます。

これほどの構成力、素材と向き合う胆力のある作品がデビュー作であるということに驚きを禁じえませんが、上映後のQ&Aで登壇したグー・シャオガン監督は大学生かと思わせる程の青年で、更に驚かされました。スケールの大きな、大変な才能の登場です。

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