第21回東京フィルメックス「イエローキャット」
コンペティション部門「イエローキャット(カザフスタン・フランス/ アディルハン・イェルジャノフ 監督)を鑑賞。
少々知恵が足りなそうな青年が、裏社会から足を洗って荒野の一軒家に映画館を作ろうとする。コーエン兄弟やアキ・カウリスマキのようなオフビートなコミカルな要素と、北野武風の突然のバイオレンス、ジャンプカットなどが見られます。カザフスタンの大草原地帯を舞台に、極限まで簡略化されたセットや人物たちの動きが抽象度の高い印象を与えます。青年が信奉するのが、ジャン・ピエール・メルヴィル監督の「サムライ」。青年どころか、地元のギャングのボスまで観ている様子。カザフスタンでは「サムライ」はそれほどポピュラーな映画なのでしょうか。
題名の「イエローキャット」とは、炎に包まれた猫、つまりは絶体絶命の状態のこと。笑いを誘いながらも、青年は確かに破滅に向かっており、 最後は「俺たちに明日はない」風に幕を閉じます。