2018年映画ベスト
2018年に映画館で鑑賞した封切新作映画(邦画66本、洋画98本・映画祭鑑賞作品含む)のうち、印象に残った作品と、映画女優のブログらしく、主演女優賞と助演女優賞を。お遊びと思ってお付き合いください。
邦画作品
①寝ても覚めても(濱口竜介監督)
②素敵なダイナマイトスキャンダル(冨永昌敬監督)
③きみの鳥はうたえる(三宅唱監督)
主演女優賞
趣里(生きてるだけで、愛。)
助演女優賞
山下リオ(寝ても覚めても)
豊作と言われる今年の邦画の中でも、とりわけ①には驚かされました。一般的に恋愛映画は愛について描いているように見えて、実際には愛することへの障害を描いていることが殆どなのに、この作品は全ての制約無く純粋に愛することだけを描いている。「ハッピーアワー」は観ていましたが特集上映で他の濱口竜介作品もほぼ観ることが出来、改めて凄い才能が現れたものだと思いました。他には「友罪」「菊とギロチン」「スティルライフオブメモリーズ」「パンク侍、斬られて候」「霊的ボリシェヴィキ」「日日是好日」「リズと青い鳥」などが良かった。
主演女優賞は、年末に鑑賞した「生きてるだけで、愛。」の趣里。久し振りに“女優の映画”と呼び得る作品で、文字通り身体を張って作品のど真ん中で踏ん張る女優の姿を観て感動しました。
助演女優賞は山下リオ。「寝ても覚めても」の世界一気まずい合コンのインパクトは今年の日本映画のハイライト。
洋画作品
①ファントム・スレッド(ポール・トーマス・アンダーソン監督)
②ヘレディタリー 継承(アリ・アスター監督)
③フロリダ・プロジェクト(ショーン・ベイカー監督)
主演女優賞
キム・ミニ(それから、クレアのカメラ、正しい日間違えた日、夜の浜辺でひとり、草の葉、川沿いのホテル)
助演女優賞
白百何(バイ・バイホー)(8人の女優と1つの舞台)
①はS.キューブリックやL.ヴィスコンティのような、「完全なる映画」への執着・妄想が見られたことが印象に残りました。なおかつ、とても笑える映画だということも、かつての巨匠たちに通じている。ジョニー・グリーンウッドのサウンドトラックも良くて、よく聴きました。この他「ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト」「ダウンサイズ」「ペンタゴン・ペーパーズ」「ミッションインポッシブル フォールアウト」「ア・ゴースト・ストーリー」「15時17分、パリ行き」「ロスト・シティZ」「ウインド・リバー」「悪魔の季節」等が良かった。
主演女優賞はホン・サンス監督とのコラボレーションが映画祭も入れると今年6本も公開されたキム・ミニ。「正しい日間違えた日」から順を追って、次第に映画の中心から軌道を外れていくというか、観察者のような立場の役になっていくのがとても興味深い。最新作ではカフェで常連の会話を盗み聴きする人物だし。ホン・サンス映画を見守る天使のような役割になってきており、今後どうなっていくのかも楽しみです。
助演女優賞は東京フィルメックスで公開されたスタンリー・クワン監督の「8人の女優と1つの舞台」から、白百河を。この作品を観て、男前の彼女に惚れない観客はいないのではないでしょうか。男装の格好良さと純情さでとても魅力的でした。